いいなと思う写真はいつも偶然



いいなと思う写真はいつも偶然。

狙って撮れたものはない。

 

私は写真を登山アプリ『ヤマップ』に投稿している。

大山に登っている人は多く、たくさんの人が美しい大山の写真を投稿されている。しかし、大山を日本海から撮った写真を掲載している人を見たことがなく、自分が載せるならありきたりの蒜山側からではなく、日本海側から見たものを載せたいと思っていた。

大山の爽やかな朝(米子からみたバージョン)を撮るのが今回の目標だ。

 

暗いうちに米子入りし、仮に適当な場所で撮影してみる。が、民家や電線が画面に入り込み、イマイチいい感じにならない。

もうちょっと距離をとろう。離れたほうが大山の雄大さを表現できるかもしれん。

少しずつ離れてポイントを探しているうち隣の境港市まで来ていた。

 

弓ヶ浜の海岸。まだ暗い砂浜を歩く。

波の音がサワサワと聞こえる。穏やかな朝を迎えようとしている。

三脚をセットして夜明けを待つ。

雲台にカメラを乗っけて画角を決める。

準備万端だ。

いい写真が撮れそうな予感がする中、コーヒーを淹れる。

古いテレビCMネスカフェゴールドブレンドで流れていた曲「DABADA」を口ずさむ。

「ダバダ~ ハア~ア~ ダバダ~ ダバダ~♪ 」

違いのわかる男の気分に浸り淹れるコーヒーは最高だ。

 

そうこうしているうちに朝が来た。

なんということだ。大山の大部分が雲に隠れて見えない。

朝焼けの爽やかな大山を撮るイメージだったが仕方がない。

この景色も悪くないし、これもまた真実の姿。

パシャッと一枚。

 

うん。薄気味悪い。

大山は右奥の雲の中である。

朝の爽やかな感じがしない。

しかし何度撮りなおしてもこんな感じなのだ。

上空の黒い雲の部分が入らないように望遠レンズで画角を探すことにした。

 

そして300mmまで望遠を上げてみると絵になる部分があった。

実際には皆生の温泉街なのだが、写真で見る景色は、映画マッドマックスの舞台だったり、北斗の拳の舞台であるカサンドラクロスのような荒廃した雰囲気のある部分を見つけた。

 

ここ。

どうだろう?建物の前に拡がる海が荒廃した大地に見えないだろうか。

建物の周りは高い塀で囲まれていて外との交流を絶ち、悪い領主が治外法権の悪政を行っているように見えないだろうか。

もはや大山の写真ではなくなっているし、爽やかな朝とはかけ離れた景色ではあるが、なかなか雰囲気のある写真が撮れたと思う。

(登山は昼前から雷雨となり途中撤退)

 

このように私の写真はいつも偶然だ。

ユーチューブでプロの写真家が狙ったものを撮りにいく動画を目にするが、あんな風にはいかない。撮りに行った先で、たまたま良いものに出会うことばかりだ。

だから毎回良いものが撮れるかどうか自信がないのである。

 

しかしながら、自信がなく結果を予測できないからこそワクワクできる気がする。

気象条件が悪い時に撮ると今まで見たことのない写真が撮れるし、ありきたりの被写体も偶然の光の具合で良いところを再発見することもある。

 

カナブンも可愛く撮れることもある。

これは7月にコマツナギの花を撮った時に偶然そこにいたカナブンを一緒に撮ったものだ。

手を花に向けてクイクイとして花を求めているように見えたのだが、実際はただ足場を探していただけであろう。私が都合よく花に手を振るカナブンとして撮ったものだ。

 

このように偶然撮れた写真ばかりだ。

枚数撮って良いものがあったらいい的な感じから成長しない。

来月でカメラを始めて一年が経つのに。

こんなんでいいのかなあ。。