サンカヨウという花をご存じだろうか。



波多です。

 

サンカヨウという花をご存じだろうか。

5月~7月に大きめな葉の上に花を咲かせる植物である。

その花は陶器のように白く、雨に濡れると透けるのである。

透けた姿はクリスタルサンカヨウと呼ばれる。

(ネット画像から拝借した画面)

実際に見てみたい。

ヤマップを見ると68日に奥大山でその姿を見たとの投稿があった。

その投稿には「間に合いました」との記述があった。

私はムズムズしていた。まだあるかも知れないとの期待が膨らんだからである。

天気予報を見るとその週はずっと雨予報であった。

 

611日のことだった。

前日の夜行バスに乗り鳥取の大山に向かった。

2350分に梅田を出発し、翌410分に米子に着く。

慣れないバスに一睡も出来ずに米子に到着した。

天気予報どおり雨であった。

大山近くに住む友人に米子駅に迎えに来てもらい、車で大山の裏側まで走った。

今日のパートナーは安部くん。

果たして我々は透明のサンカヨウを見つけることが出来るのか。

そしてサンカヨウはまだ咲いているのか。

期待に胸を膨らませ雨の山中に入る。

530登山スタートである。

見事なブナ林。

まだ朝550分である。大きなブナの木に覆われて森は暗かった。

雨ではあるが生い茂った木々の葉が天然の傘となり思ったより歩きやすい。

雨具は上着を愛用のモンベル、ズボンはワークマンの新品を装着だ。

装備は万全である。

緑深い静かな森を歩くのは気持ちが良かった。

「サンカヨウあるかなあ」

友人と合言葉のように言葉を掛け合い、捜索しながらの山歩きであった。

 

サンカヨウを探している間にいろんな植物と出会った。

しばらくは雨に濡れた奥大山の植物をご覧いただきたい。

オオベニウツギ

カエデ

ユキザサ

ミツバ

クルマバソウ

雨のしずくに写り込んだ木々

タニウツギ

ハルニレの葉

カラマツソウ

クロモジと水滴

 

うす暗い森の中には人知れず咲く美しい植物でいっぱいであった。

 

さて、お目当てのサンカヨウだが・・・。

探している間に隣の鳥越峠まで来てしまった。

発見できないのである。

いや、正確には葉っぱはたくさんあったが花がない。

ほとんどがもう実をつけてしまっていた。

翻って考えれば3日前ヤマップで見たワードが思い浮かぶ。

「間に合いました」のワードが。

 

「おーい!」

手分けをして探している友人の声だ。

急ぎ駆けつけると、

 

あった。

けど、散っている。

葉っぱの上にあるということは散って間もないということか。

我々は間に合わなかったようだ。

でもこの散ったサンカヨウはしっかり透明になってくれている。

コンタクトレンズのようなその姿に散り姿に手を合わせ、その場を後にした。

その後しばらく探してみたがサンカヨウを見つけることは叶わなかった。

来年もう1回ここに来よう。

友人と約束を交わし下山することにした。

葉っぱの模様がキレイなどと言っていたら、天候が荒れてきた。

視界が一気に悪くなってきた。下山は慎重に行こうと意思を合わす。

一瞬で真っ白?真っ黒?になる。

細心の注意を払い、感覚を研ぎ澄ます。セーフティファースト、それ以外は考えない。

カメラをザックにしまい、手足を安全に下山することだけに使う。

雨音で音の情報が得にくい。視界も悪い。振り返らずとも互いの距離感が分かるように、こまめに声を掛け合う。

とにかく無事に下りるのだ。

無事下山。天候が荒れたのは一瞬で、すぐ回復してくれた。

雨上がりのミズキがキレイだった。

今回はお目当てのサンカヨウを見ることが出来ず、ほろ苦い山行となった。

 

あとがき

今回はサンカヨウ捜索をきっかけに雨の山中に入りました。

初めて狙って雨をえらんだのですが、なかなか良いものだと知りました。

もちろん風がないという条件が付きますが。

とにかく空気がなめらかなんです。

花粉っぽくなく、埃っぽくなくて、粉っぽさがないんです。

濡れた植物は柔らかで、いつもと違うやんわりとした輝きがあり、良きものでした。

注意点は足元です。滑りやすいのでややペースを落として歩かれたら良いかと思います。

どなたにも山行が楽しく安全でありますように。